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多摩の毎日

多摩の毎日

宮之浦岳登山


5:30頃起床。まだ薄暗い、東京よりも日が沈むのは遅く、日が昇るのも遅い。
外は小雨模様。コーヒーとパンで簡単に食事をとり、6:50出発。
他の人たちは全員、縄文杉から下山するらしくのんびりです。

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ここから新高塚小屋までは約1時間。雨はやんでいて向こうから来る人と、時々すれ違う。
新高塚小屋は40人収容の大きめの小屋。昨夜は30人ほど泊まったらしい。

ここからは稜線とはいっても木はあるし、上りながら時々だけど視界が開けては遠くの山々が見えてくる。風が強いので展望台と名のつくところでは少し待ってみるといきなり景色が現れたりして結構、感動する。

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坊主岩あたりまでは太陽も照っていて、雨が落ち霧がかかってもいきなり遠くが見えるの繰り返し。
高い山々の向こうに青い海が広がっているのを見て、やっぱりここは島なんだと実感。しかも青い青い美しい海、いいなぁ。

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上り下りの多さとたまに降る雨にくたびれていたら、雨は止まなくなってきた。永田岳の分岐でも見えるはずの永田岳は見えずに、やっとついた宮之浦岳は暴風と小雨。
お昼を食べるどころではなくなり、近くの岩陰で少し休憩。

その岩陰には宮之浦岳を日帰り登山しているというガイドとゲストがいた。
あまり人とすれ違うこともない山なので、行動食を食べながら、ちょっとおしゃべり。そのゲストは夫婦で来ているのに今日は違うところに登っているとか。ガイドは無線でガイド同士連絡を取り合っているようで、Tシャツ短パンの登山者が来ているとか、コンビニ袋を提げた荷物の少ない家族が通らなかったかとか。

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身体が冷える前に歩き出す。追いつけ追い越せのように二人とはすれ違いながらずっと歩くことになった。この先は栗生岳・翁岳・安房岳・投石岳のそばを通って歩いているのにずっと雨だし、眺望が利かないとこんなにも疲れるものなのか。

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試練のように歩いてやっと花之江河につく。雨降りの湿原は美しい、苔が生き生きとして高層湿原特有のやさしさがあるけど。
こんなに雨が降っちゃって、ここに来るにはいつが一番いいのって先ほどガイドに尋ねたら「雨の時が一番いいと思う。雨が降るのがこの山で、ボクは雨が降ってるここが一番好きだ」といわれた。
そうだった、雨を覚悟で来た山だったじゃん。たまの晴れ間に遠くの景色が見えるってのもそれでいいんだということにした。

湿原を通り過ぎると、山は下りになり1時間ほどで淀川小屋に着いた。15:40
誰もいない、薄暗いだだっ広い山小屋はそれだけで薄気味悪い。
とりあえず雨具を干して、なんか食べようよということでお湯を沸かす。

今日はもうきっと誰も来ない、だってバスの時間も過ぎてるしさっきのガイドの話だとマイカー日帰り登山もいなさそう。強くなる雨を眺めながら食事してコーヒーを入れていると親戚一同登山者がやってきた。
小学生の子供と親とガイド、近くまでハイキングだったらしい。ひとしきり休憩して山を降りていった、日は長いから車があれば全然大丈夫だし。

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そのときにアメリカ人の男性ひとりが小屋にやってきた。おとなしい人だと思ったら、英語しか話せないからだった。私たちがここに泊まるというと、なにもすることがない3人でのおしゃべりタイムになる。
イアンはアメリカ人でのんびり日本を旅行しているよう、ここには巨樹がたくさんあることに感動していた。しゃべりながら食パンを一枚とジャムとマーマレードのビンを持ってきて食事を始めた。これが夕食なんだって、アメリカ人ぽい。

夜になり雨はますます激しく降り、早々と寝袋に入る。
私たちは玄関脇のはじ、イアンはそこの前の上段に、月も星もないし闇がひろがっている。
どしゃぶりの雨音を聞きながら、ウトウトしてしばらくすると外でドンドンと扉をたたくような音や物をひっくり返しているような音がしはじめた。
えっ、何事と最初は軽装で登山していた家族が下りて来て助けを求めているのかと思ったけれど、音は止まない。玄関外のテラスで何かが起こっているとしか思えない。

どうすることも出来ずにじっとしていたら、イアンも不安げにライトを照らしてきた。
“ホワッツザット?”
こんなに不安な夜なのに何も気づかず寝ているブヒ夫も起こされる。
強い風と雨でしょ・・・ということで私とイアンはひとしきり玄関方向をライトで照らしてみて、でも確認できずに再び寝る。

そのうちに耳元でガサゴソと音がし始めて、これはヒメネズミかなと思ったものの運動会でもやっているような音。しかも床下すぐなのか玄関先か、近すぎる。
ネズミに囲まれているんではないかと思う音で、時々ライトを照らしてみる。
玄関外の音はあまりしなくなったものの、たぶんネズミだと思う音は大きくなるばかり、隣で寝ているブヒ夫の寝息が聞こえることがとても安全なような、安心感を覚えウトウトしながらやがて朝になった。

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